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ビタミン注射・ビタミン点滴に副作用はある?
サプリメントやドリンクから気軽に摂取できるビタミン。ビタミンを注射や点滴で投与することによって、どのような副作用が起こるのでしょうか?ここでは、ビタミン注射・ビタミン点滴の体に対する影響や副作用のリスクについて解説しています。
ビタミン注射・ビタミン点滴の副作用
ビタミンは水溶性。過剰に摂取しても体外へ排出される仕組みになっています。そのため、副作用の心配はありませんが、腎臓機能が低下している方や脱水症状を引き起こしている方、栄養状態が悪い方は治療が適さない可能性があります。医師に相談の上、安全に治療を受けることが大切です。
ニンニク注射(ビタミンB)の副作用
美肌にとって必要なビタミンBを主にするニンニク注射。疲労回復や風邪予防のために定期的に受ける方も多い人気の注射ですが、体質によっては以下のような不調を起こす可能性があります。
- 下痢
- 頭痛
- アレルギー反応
- 湿疹・じんましん
このような症状があらわれたらニンニク注射・点滴を受けた医療機関へすぐに連絡し、医師の指示のもと安静にして過ごしましょう。どうしても症状がおさまらないようであれば、専門知識のある医師の診察を受けなくてはなりません。また、ニンニク注射やニンニク点滴を受けて体調に異変が起こってしまったら、今後はニンニク注射・点滴を受けないほうが良いでしょう。
ニンニクのようなにおい
名前の通り、ビタミンBにはニンニクのような独特のにおいがします。においの元は、ビタミンB1に含まれる「硫化アリル」という成分。硫化アリルが鼻の粘膜に到達したとき、つんとしたにおいを感じるのです。
ただし、これは自分だけが感じているにおいで、体臭や口臭がきつくなっているわけではありません。最近では、いやなにおいがしない無臭化されたニンニク注射・ニンニク点滴も開発されています。ニンニクのにおいが苦手な方は、無臭ニンニク注射・ニンニク点滴を選ぶと良いでしょう。
高濃度ビタミンCの副作用
余分にビタミンCを取り入れても体の外へ排出されるため、高濃度ビタミンC点滴は副作用を起こしにくいとされています。ただし、副作用が起きないというわけではありません。その人の体質や体調によっては、以下のような副作用が起きる可能性があります。
のどが渇く
高濃度ビタミンC点滴には利尿作用があるため、のどが渇くような症状が起こることがあります。脱水症状を起こしてしまわないためにも、術後は水やお茶でこまめに水分を補給して、のどの渇きを防ぎましょう。
低カルシウム血症
ビタミンCには、カルシウムを体の外に出してしまう働きがあります。よって、高濃度ビタミンC点滴を受けたあとに「低カルシウム血症」という副作用が起きるおそれがあります。低カルシウム血症の主な症状は筋肉のけいれんやしびれです。いつもと異なる、しびれるような感覚やけいれんが起きたら、すぐに医師へ相談してください。カルシウム製剤の投与で対処してくれるでしょう。身体にカルシウムを取り入れれば、症状は改善するでしょう。
血糖測定値の異常
高濃度ビタミンCを投与したあとに簡易血糖測定器で血糖値を図ると、測定値が高く計測されてしまう現象が起こり得ます。これは高濃度ビタミンCを点滴したために血糖値が高くなったわけではなく、あくまでも測定値上の異常です。
「見せかけの高血糖」が起きる原因は、ビタミンCとブドウ糖の化学構造が似ているため。とくに糖尿病の方の場合、高血糖と勘違いをしてインスリンを投与してしまう可能性があるため、逆に低血糖になり過ぎるリスクがあります。よって糖尿病をお持ちの方は、高濃度ビタミンC点滴を受けられない可能性があります。
アレルギー症状
ビタミンCそのものに対するアレルギーはほとんどありませんが、必ずしもゼロというわけではありません。高濃度ビタミンCの投与後にアレルギー症状が起きた場合は、薬剤に加えられたほかの成分に反応していることが多いでしょう。点滴の薬剤には化学防腐剤などが含まれています。防腐剤などでアレルギーを起こしたことのある方、以前にも点滴によってアレルギー症状が出た経験のある方は、事前に必ず医師へ伝えておきましょう。
多量摂取によるリスク
低血糖
ビタミンCとブドウ糖の化学構造がよく似ているために、高濃度ビタミンCを投与すると体が「ブドウ糖が入った」と勘違いしてしまい、インスリンを大量に分泌してしまいます。急に低血糖症状を起こすおそれがあるので注意が必要です。点滴前の食事でリスクを回避できるので、高濃度ビタミンC点滴の前は空腹を避け、しっかりと食事を摂ってからのぞみましょう。
吐き気・頭痛
一度に大量のビタミンCを点滴で投与することによって、吐き気や頭痛の症状があらわれることがあります。点滴の速度によっては吐き気や頭痛を感じるほか、アレルギー症状を起こしている可能性もあります。異変を感じたらすぐに申し出ましょう。点滴速度が原因で症状が起きている場合は、速度を下げることで徐々に治まっていきます。
溶血
体の中にある「G6PD」という酵素が欠損することで赤血球が壊れてしまう病気です。人種の遺伝上の影響が大きく日本人にはほとんどいないと言われていますが、血液検査でLDH、AST、カリウムの異常な上昇がないかを調べてから治療にすすみます。
鉄過剰
名前の通り、鉄分が過剰に吸収されている状態です。ビタミンCを摂取すると腸のはたらきが良くなり、鉄分が吸収されやすくなります。放っておくと鉄過剰になってしまう可能性があるので注意が必要です。また、定期的に高濃度ビタミンC点滴を受けている方は、体内で鉄代謝が正常に行われているかの検査も並行して行うことで鉄過剰を防げます。再診の際にもしっかりと診察し、アフターケアまで丁寧に行ってくれるクリニックを選びましょう。
はじめての方は血液検査を行う
高濃度ビタミンC点滴の副作用のひとつには、命にかかわる重大な「溶血」のリスクがあります。溶血を起こさないためにも、はじめて高濃度ビタミンC点滴を受ける前には、事前に血液検査を行うのが一般的です。血液検査では、溶血を起こすリスクの高い「G6PD」という酵素が欠損していないかを調べます。クリニックによっては初回の施術費用に含まれているところもありますが、別途料金がかかる場合もあります。はじめての方は、来院前にクリニックの料金体系を確認しておきましょう。
注射や点滴による体への影響
ビタミンそのものは副作用を起こさなくても、注射針や点滴によって体に影響を及ぼす可能性もあります。ビタミン注射・ビタミン点滴を受ける前に、注射や点滴によるリスクも知っておきましょう。
血管痛
ビタミンCの分子の大きさや浸透圧が影響して、点滴をした際に血管が痛むことがあります。血管痛は点滴の速度によっても変化するとされており、速度を落とすことで改善することもあります。また、点滴の針がうまく静脈に届かず、薬剤が血管の外にもれ出ているときにも痛みが起こります。この場合は針を抜いて刺しなおす必要がありますので、いつもとちがう感覚や痛みを感じたら、我慢せずに施術者に伝えましょう。
内出血
ビタミン注射や点滴に限らず、どの注射・点滴でも内出血を起こすリスクがあります。皮下の毛細血管に注射針が当たることによって青く変色してしまう症状で、数日すれば治まりますが施術者の技術力によっても結果が左右されます。注射や点滴に慣れたベテランの医師や看護師のみが対応しているクリニックを選ぶと良いでしょう。